まず、次の抜粋を見てみよう。
ヨーロッパでの外国語教育では、Council of Europe (欧州評議会)の音頭取りで、欧州統合に
伴うヒトの移動つまりは労働力の移動を念頭に、 (中略) 外国語でやりとりするのに最低限
必要なレベルまで達するのに380時間前後としています。
http://eng.alc.co.jp/newsbiz/hinata/2006/03/?30004000.html
これによると、ヨーロッパの人が他のヨーロッパの言語で
最低限必要なレベルに達するのに、およそ380時間かかるらしい。
つまり、フランス人がドイツ語で簡単なやり取りが出来るようになるのに3
80時間かかるということになるわけだ。
ここで、簡単なやり取りと言うのは、「労働力の移動を念頭に」などの文言が
あることから、『旅行や仕事上の、最低限困ることが無く会話ができる』くらい
のレベルを指すと考えていいだろう。
一般に、ヨーロッパの人が英語を覚えるよりは、日本人が英語を
覚える方が時間がかかる。
例えば、フランス語にとって、英語なんて、言ってしまえば「方言」
みたいなものだ。
日本人の場合だと、どのくらい余分な時間をかければヨーロッパの人の
380時間に相当する効果がでるのでしょう。
それを考える上で、面白い資料がある。
平均的な言語適性を持つアメリカ人が、グループ1のオランダ語を言語能力ゼロの状態から
「一般的な言語学習の完成レベル」であるLPIレベル3(ページ下欄参照)にほぼ960時間で
到達するのに対して、日本語や韓国語の場合、2,400〜2,760時間かかるとされている。
http://www.kirihara-kyoiku.net/peripatos/01/01.html
本文中の「グループ1」というのは、アメリカ人が最も身につけやすい
外国語の一つという意味だ。
これによると、アメリカ人が全くのゼロの状態からオランダ語を勉強して
960時間である一定のレベルに到達できるわけ。
アメリカ人が同じくらいのレベルに日本語で到達しようと思うと、
2,400〜2,760時間かかるって事になる。
ここで、日本人が英語を身につける時間と、アメリカ人が日本語を身につける
時間が大体同じくらいと仮定しよう。
この仮定を元に、単純に換算すると、ヨーロッパの人が他のヨーロッパの他言語
を学習する380時間は日本人がヨーロッパの言語を勉強した場合の950〜1093時間
の学習に相当する。
つまり、約1,000時間ほど英語を学習すれば、一人で英語圏の旅行が出来るくらい
の英語力が身に付くことになるわけだ。
更に考えると、一日3時間くらい勉強すれば、一年で1,095時間となる。
つまり、一年で有る程度のコミュニケーションが取れるレベルまでになれるという事だ。
これは納得だ。
学習内容をしっかり選んで毎日3時間勉強すれば、一人で旅行できるくらいの
レベルにはなれそうな感じはする。
大雑把な部分もある議論ではあったが、納得できる数字のような気がする。
逆に、毎日3時間勉強して、一年が経過してこのくらい成果が出なかったら何か
学習方が間違っているということに!?
ちなみに、中学3年間で315時間の授業時間があるらしいから、1時間の授業
に対して2時間の予習復習をやるとちょうどこのくらいになる。
まじめな中学生でも、このレベルまでいくのだろうか。
中学校の英語の授業の効率が悪いって事なのだろうか?
個人的には、簡単な英語の本をたくさん読ませることで、話せる中学生が増えるのではないかと考える。
具体的には、次のような感じ。
辞書無しで読めるレベルの本を、1週間20ページ読ませるとすると、
1年で1,000ページ読むことになる。
夏休みなどに更に500ページ読んで年間1,500ページ。
そうすると3年で4,500ページ。
このくらい読めば、中学3年間だけで有る程度のレベルまでいける
のではないかと思うのだがいかがか?
Last update:2023/2/27